「疎遠な子」には知らせずに遺言執行できる?甥・姪に財産を遺したいときの「遺留分」と「相続税」
「離婚して以来、何十年も会っていない子がいる」
「それよりも、ずっと近くで支えてくれた甥や姪に財産を遺したい」
このようなお気持ちを持つ方は、実際に少なくありません。
しかし、日本の法律には 「遺留分」 という強い権利があります。
そのため、思いどおりの遺言を書いたつもりでも、あとからトラブルになることがあります。
例えば、次のような遺言を書いた場合を考えてみましょう。
- 配偶者と甥・姪に財産を遺す
- 母校へ1,000万円寄付する
- 疎遠な子には相続させない
今回は 資産1億円のケースを例に、注意点をわかりやすく解説します。
① 「遺留分」という壁:子は強い権利を持っている
たとえ長年会っていなくても、
実子には「遺留分(最低限の取り分)」が認められています。
今回のケース
総資産:1億円
子の遺留分:4分の1(2,500万円)
つまり、
遺言で
「子には財産を渡さない」
と書いても、子が 遺留分侵害額請求 をすれば、
配偶者や甥・姪、寄付先などは
合計2,500万円を支払う必要が出てくる可能性があります。
② 子に知らせずに遺言執行はできる?
結論から言うと、
完全に知られずに進めるのは非常に難しいと考えられます。
遺言執行者は、就任した際に相続人へ遺言の内容を知らせるのが通常です。
また、次のような手続きの中で、遺言の存在が分かることも少なくありません。
- 不動産の名義変更
- 相続税の申告
- 金融機関の相続手続き
もし後から発覚すると、
「隠されていた」
という不信感から、
かえって 大きな紛争(争族)に発展する可能性もあります。
③ 甥・姪が相続すると「相続税が2割増し」
甥・姪に財産を遺す場合、
相続税が高くなる点にも注意が必要です。
相続税では、
- 配偶者
- 子
- 親
以外の人が財産を取得すると、
相続税が2割加算されます。
甥・姪はこの対象になるため、
想定より税額が高くなる可能性があります。
④ 「母校への寄付」も遺留分に影響する
遺言で母校などへ寄付することは、
とても意義のある社会貢献です。
ただし、注意点があります。
遺留分の計算に含まれる
寄付した金額も、
遺留分を計算する際の基礎財産に含まれる場合があります。
相続税がかからないケースもある
寄付先が
特定公益増進法人などの条件を満たす団体
であれば、
その寄付部分には相続税がかからない場合があります。
ただし、学校法人などでも
扱いが異なることがあるため、事前確認が大切です。
✨ 行政書士からのアドバイス
「会っていない子に連絡がいくのは避けたい」
そのお気持ちは、相談の現場でもよく伺います。
しかし、トラブルを防ぐためには
- 遺留分に配慮した遺言にする
- 付言事項で想いを伝える
といった工夫がとても大切です。
付言事項では、
- なぜこの配分にしたのか
- どんな想いで財産を遺すのか
といった気持ちを書くことで、
相続人の理解につながることもあります。
「争族」を防ぎ、
大切な人へ想いをつなぐためにも、
遺言作成は専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
遺言作成のサポートも行っています。詳しくはこちらをご覧ください。
▶ 行政書士あぐいまき事務所
