戸籍は1通では足りない?出生から死亡までの戸籍が8通になる実例
相続の手続きでは、
**亡くなった方の「出生から死亡までの戸籍」**を集める必要があります。
ところがご相談を受けていると、
「戸籍って1枚取れば全部わかるんですよね?」
と思われている方がとても多いです。
実は、戸籍は人生の出来事や法律の改正によって
何度も作り直される仕組みになっています。
そのため相続では、
戸籍をさかのぼって集めていく必要があります。
今回は、具体的な例で見てみましょう。
具体例:昭和12年生まれの女性
例えば次のような人生だった場合です。
- 昭和12年 大阪で出生
- 25歳 神奈川の男性と結婚
- 35歳 自宅購入で本籍を東京へ移す
- 45歳 離婚して大阪へ本籍を戻す
- 50歳 福岡の男性と再婚
- 87歳 福岡で死亡(令和8年)
一見すると普通の人生の流れですが、
この間に戸籍は何度も作り直されています。
戸籍が増える理由
戸籍が増える主な理由は次の3つです。
① 結婚・離婚
結婚すると配偶者と新しい戸籍を作ります。
離婚すると親の戸籍に戻るか、自身を筆頭者とする新しい戸籍を作ることになります。
② 本籍地の変更(転籍)
本籍地を移すと、新しい戸籍が作られます。
③ 戸籍制度の法改正
特に次の改正は大きな影響があります。
- 昭和32年の法改正 戸籍の単位が「家」から1組の夫婦及び氏が同じくする子で戸籍が編成。
- 平成6年の法改正 戸籍コンピュータ化
これにより、
同じ家族でも戸籍が作り直されています。
実際の戸籍の流れ
この女性の戸籍の流れを整理すると次のようになります。
| 年齢 | 年 | 出来事 | 本籍地 | 戸籍の変化 |
|---|---|---|---|---|
| 0歳 | 昭和12年 | 出生 | 大阪市 | 親の戸籍に入る |
| 20歳 | 昭和32年 | 戸籍法改正 | 大阪市 | 改製戸籍 |
| 25歳 | 昭和37年 | 結婚 | 横浜市 | 夫の戸籍に入る |
| 35歳 | 昭和47年 | 自宅購入 | 東京都世田谷区 | 転籍 |
| 45歳 | 昭和57年 | 離婚 | 大阪市 | 自分を筆頭者とする戸籍 |
| 50歳 | 昭和62年 | 再婚 | 福岡市 | 夫の戸籍に入る |
| 57歳 | 平成6年 | 戸籍電算化 | 福岡市 | 改製原戸籍 |
| 87歳 | 令和8年 | 死亡 | 福岡市 | 除籍 |
この場合、戸籍は何通必要?
このケースでは主に次の戸籍を集める必要があります。
| 戸籍の種類 | 取得先 |
|---|---|
| 出生時の戸籍 | 大阪市 |
| 昭和32年改製戸籍 | 大阪市 |
| 結婚後の戸籍 | 横浜市 |
| 転籍後の戸籍 | 東京都世田谷区 |
| 離婚後の戸籍 | 大阪市 |
| 再婚後の戸籍 | 福岡市 |
| 平成6年改製原戸籍 | 福岡市 |
| 除籍謄本 | 福岡市 |
つまり
7通~8通の戸籍が必要になる可能性があります。
転籍が多い場合は、
10通以上になることも珍しくありません。
戸籍の請求先は全国に散らばることも
今回の例では、戸籍の請求先は
- 大阪
- 神奈川
- 東京
- 福岡
と全国に分散しています。
そのため相続では、
「戸籍を取ったら、次は別の市役所だった」
ということがよくあります。
相続手続きは「戸籍集め」から始まる
相続手続きでは
- 銀行の手続き
- 不動産の名義変更
- 相続登記
すべての場面で
出生から死亡までの戸籍
が必要になります。
戸籍の流れが複雑な場合、
戸籍集めだけで数週間かかることもあります。
まとめ
戸籍は
「1通で全部わかるもの」
ではなく、
人生の出来事ごとに作り直されていくものです。
そのため相続では、
- 複数の市区町村
- 複数の戸籍
を集める必要があります。
「どこから戸籍を取ればいいのかわからない」
そんなときは、
どうぞお気軽にご相談ください。
