相続した空き家を売却するまでの流れ【5ステップ解説】

1.はじめに

前回の記事では、800万円以下の物件に関する仲介手数料の法改正について解説しました。

なお、低価格物件に関する仲介手数料の法改正については、前回の記事で詳しく解説しています。

では実際に、「実家を相続した」「空き家をどうにかしたい」と思ったとき、何から始めればよいのでしょうか。

相続した空き家の売却は、いきなり不動産会社へ行けば済むものではありません。
法務手続きと不動産手続きが段階的に進んでいきます。

今回は、その全体像を5つのステップで整理します。


ステップ① 相続人を確定する

まず行うのが、戸籍収集による相続人の確定です。

誰が法定相続人なのかを明らかにしなければ、その後の手続きは進みません。
想定していなかった相続人が判明するケースもあります。


ステップ② 遺産分割協議を行う

相続人が複数いる場合、「誰がその不動産を取得するのか」を決める必要があります。

しかし、ここでよく起こるのが

「自分はいらない」
「管理できないから兄が持ってほしい」
「売るならいいけど名義は嫌だ」

といった“押し付け合い”です。

不動産は預貯金と違い、持てば固定資産税や管理責任が発生します。
そのため、話し合いがまとまらず、遺産分割協議が滞ってしまうことも少なくありません。

方向性を決めないまま時間が経つことが、空き家問題の第一歩になってしまいます。


ステップ③ 相続登記を行う

2024年4月から、相続登記は義務化されました。

相続を知った日から3年以内に申請しなければ、過料の対象となる可能性があります。

「まだ誰の名義にもしていないから大丈夫」という状態は、
法律上は通用しなくなりました。

売却を検討するなら、まず名義を整理することが必要です。


ステップ④ 不動産の査定を受ける

登記が完了したら、次は不動産会社による査定です。

築年数、立地、接道状況、再建築の可否などから価格が算出されます。

ただし相続物件の場合、

・境界が未確定
・建物が未登記
・家財が残っている
・長年管理されていない

といった事情があることも多く、整理に時間がかかるケースもあります。


ステップ⑤ 売却活動・契約・引渡し

媒介契約を締結し、買主を探します。

購入希望者が見つかれば売買契約を締結し、決済・引渡しへと進みます。

ここまで進んで初めて、空き家問題が一つの区切りを迎えます。


補足①:誰も欲しがらない場合はどうする?

相続した空き家の中には、

・築年数が古い
・立地が悪い
・再建築不可
・解体費のほうが高い

といった理由で、買い手がつきにくい物件もあります。

その場合の選択肢としては、

  • 価格を見直す
  • 解体して土地として売却する
  • 自治体の空き家バンクを活用する
  • 無償譲渡や引き取りサービスを検討する

などがあります。

「売れない=終わり」ではありません。
選択肢を整理することが大切です。


補足②:そもそも持ちたくない場合

相続開始から3か月以内であれば、相続放棄という選択肢もあります。

ただし、これは不動産だけでなく、すべての財産と負債を放棄する制度です。
慎重な判断が必要です。


まとめ:一番のリスクは“放置”

空き家問題の最大のリスクは、
売れないことでも、古いことでもなく、

**「方向性を決めないまま時間が過ぎること」**です。

遺産分割がまとまらない
名義変更をしていない
価格を見直さない

こうした状態が続くほど、状況は複雑になります。

空き家問題は「売れるかどうか」だけではなく、
「どう向き合うか」という問題でもあります。

全体像を知り、早い段階で整理を始めることが、相続人の負担を軽くする第一歩になります。

相続や空き家に関する考え方や、現在取り組んでいる準備内容については、公式ホームページでもご紹介しています。
行政書士あぐいまき事務所 公式サイト

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