相続と空き家、そして仲介手数料の法改正
1.はじめに
相続に関するご相談に触れる中で、近年特に増えていると感じるのが「空き家」の問題です。
「実家を相続したけれど、遠方に住んでいて管理ができない」
「家財がそのままで、何から手を付けてよいかわからない」
こうした声は決して珍しいものではありません。
実際、日本国内で増加している空き家の多くは、相続によって引き継がれた不動産です。
そしてその背景には、“法務手続き”と“その後の不動産の行き先”が分断されている現実があると感じています。
今回は、2024年7月1日から施行された「仲介手数料の規定改定」について、その内容と、相続物件の売却にどのような影響を与えるのかを解説します。
2.法改正のポイント:800万円以下の仲介手数料
今回の改正により、売買価格800万円以下の物件については、依頼者の同意があれば、仲介手数料の上限が最大30万円(+消費税)まで認められることになりました。
これまでの計算式では、低価格物件の場合、受け取れる手数料が極端に少なくなるケースがありました。
しかし、不動産の調査や契約書作成、境界確認、法令調査などにかかる労力は、物件価格に比例するわけではありません。
数百万円の物件であっても、実務の手間はほとんど変わらないのです。
その結果、地方の古い実家や空き家などは、不動産会社にとって採算が合いにくく、「相談しづらい」「積極的に動いてもらえない」といった状況が生まれていました。
今回の改正は、低廉な空き家であっても責任をもって流通を支えられる環境を整えるための見直しといえます。
3.「相続した空き家」を放置するリスク
相続した不動産を「とりあえずそのまま」にしてしまうと、さまざまなリスクが生じます。
- 特定空家への指定
管理不全と判断されると、固定資産税の住宅用地特例が解除され、税負担が大幅に増える可能性があります。 - 相続登記の義務化(2024年4月〜)
相続を知った日から3年以内に登記をしなければ、過料の対象となる場合があります。 - 建物の老朽化や近隣トラブル
倒壊リスク、放火、害虫発生など、所有者責任が問われる場面もあります。
空き家は、時間が経つほど資産価値が下がる傾向にあります。
早めに方向性を検討することが、結果的に相続人の負担を軽減することにつながります。
4.法務と不動産を“つなぐ”視点
空き家問題は、不動産だけの問題でも、法務手続きだけの問題でもありません。
誰が取得するのかを決める遺産分割協議、
名義変更の手続き、
そしてその後の売却や活用の判断。
本来は一本の流れで考えるべきものが、分断されていることが多いと感じています。
私は現在、相続と不動産を一体で支援できる体制づくりを進めています。
将来的には、相続の入り口から不動産の出口まで、安心して相談できる窓口となることを目標としています。
「相続した空き家の売却を検討されている方にとって、今回の仲介手数料の法改正は見逃せないポイントです。」
5.おわりに
空き家は、放置すれば負担になりますが、適切に活用すれば次の世代へ価値をつなぐことができます。
今回の仲介手数料改正は、空き家問題に対して前向きに取り組むための一つの環境整備です。
相続と空き家について考えるきっかけとして、本記事が少しでもお役に立てば幸いです。
相続や空き家に関する考え方や取り組みについては、公式ホームページでもご紹介しています。
▶ 行政書士あぐいまき事務所 公式サイト

