子どもがいない夫婦は要注意|配偶者だけに財産を残すための相続対策

こんにちは。
行政書士の安居院(あぐい)です。

子どもがいないご夫婦の場合、相続が発生すると配偶者だけでなく、亡くなった方の兄弟姉妹も相続人になることがあります。

「夫婦で築いた財産だから、当然すべて妻(夫)が相続すると思っていた」

実際の相談現場では、そのように考えていた方が少なくありません。

しかし、遺言書がないことで、思いもよらない相続トラブルにつながるケースがあります。

今回は、私が実際に相談を受けた事例をもとに、子どもがいない夫婦が知っておきたい相続対策についてお話しします。



「当然、自分がすべて相続すると思っていました」

その奥様は、長年連れ添ったご主人を亡くされ、相続手続きのご相談に来られました。

ご夫婦にお子様はおらず、長年二人三脚で生活してこられました。

残された財産は
・ご夫婦でコツコツと貯めた預貯金
・二人で暮らしてきた大切なマンション

奥様はこうおっしゃいました。

「夫の財産は、当然すべて妻である自分が相続するものだと思っていました」

そのお気持ちは、本当に自然なことだと思います。


どうして会ったこともない兄弟姉妹に財産を渡さないといけないの?

しかし、ご主人は遺言書を残されていませんでした。

相続人調査を進めたところ、
ご主人には2人のご兄弟がいらっしゃることが判明しました。

「会ったことのない相続人がいる場合の進め方」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
相続人が多い場合の相続手続き|疎遠な親族がいるときの進め方

結婚後はほとんどお付き合いもなく、
奥様にとっては顔もよく知らない方々です。

それでも法律上は、

配偶者 + 亡くなった方の兄弟姉妹 が相続人となります。

この事実をお伝えしたとき、奥様は戸惑いながらこうおっしゃいました。

「どうして、一度も会ったことがない人に渡さないといけないんですか…?」

相続人が複数いる場合、遺産の分け方について話し合いが必要になります。
遺産分割協議の進め方や注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。

遺産分割協議とは?進め方とトラブル回避【不動産相続は要注意】


「権利」という現実

ご兄弟へご連絡を差し上げたところ、返ってきたのは厳しいお返事でした。

「法律で決まっている権利があるなら、きちんと受け取りたい」

決して珍しい話ではありません。
むしろ、法律が関わる以上、とても現実的な対応です。

当事者間で話し合いが行われましたが、状況は変わらず――

最終的に奥様は、
老後のための大切な預貯金を取り崩し、
法定相続分を支払うことで、ようやくマンションを守ることができました。


たった一枚の遺言書で防げた未来

もし、ご主人が

「すべての財産を妻に相続させる」

という遺言書を残していたら、結果は全く違っていました。

なぜなら、

兄弟姉妹には「遺留分」がないため

「遺留分(最低限の取り分)」について詳しく知りたい方は、こちらで解説しています。
▶ 遺言を書くなら知っておきたい「遺留分」とは?基本とトラブル回避のポイント


遺言があれば、すべて配偶者に渡すことが可能だからです。

つまり――

たった一枚の遺言書で、奥様の生活も安心も守れたのです。

こんな方は特にご注意ください

・お子様がいらっしゃらないご夫婦
・ご主人(奥様)のご兄弟とあまり交流がない方
・親族関係が疎遠になっている方
・ご自宅を必ず守りたいとお考えの方

ひとつでも当てはまる場合は、
今回のお話のようなケースが起こる可能性があります。


子どもがいない夫婦に遺言書が必要な理由

「うちは財産も多くないし、大丈夫」
「家族仲も悪くないし、問題ないはず」

そう思われる方も多いと思います。

ですが相続は、

感情ではなく、法律で進んでしまうものです。

だからこそ、

お子様がいらっしゃらないご夫婦で
「すべてを配偶者に遺したい」とお考えの方は、

必ず「遺言書」という形で残しておくこと

これが何より大切です。


あなたの想いを、確実に届けるために

遺言書は、財産を分けるためだけのものではありません。

残された配偶者が困らないようにするための準備です。

「自分が亡くなった後も、この人に安心して暮らしてほしい」

その想いを形にするのが遺言書なのだと思います。

「書いた方がいいのは分かるけど、不安で…」
そんな時は、一人で悩まなくて大丈夫です。

LINEからも受け付けております。
「ちょっと聞いてみたい」という内容でも大丈夫です。



あなたの想いを、きちんと形にするお手伝いをいたします。