相続人が多い場合の相続手続き|疎遠な親族がいるときの進め方
相続の手続きを進める中で、亡くなった方の戸籍を出生からすべて辿っていくと、これまで存在すら知らなかった相続人が見つかることがあります。
驚かれるかもしれませんが、実は決して珍しいことではありません。
しかし、たとえ「一度も会ったことがない」「どこに住んでいるか知らない」相手であっても、その人を無視して相続手続きを進めることは法律上できません。
今回は、そんな「疎遠な相続人」がいる場合の手続きの流れと、将来のトラブルを防ぐための備えについて解説します。
1. 相続人全員の同意が必要
銀行口座の解約や不動産の名義変更など、相続に関するほとんどの手続きには、相続人全員が署名・押印した「遺産分割協議書」が必要です。
面識がなくても、その方の同意がなければ手続きは進められません。まずは、すべての相続人を特定することが第一歩です。
2. 相手の住所を特定し、手紙で連絡する
戸籍謄本だけでは、相手の住所や連絡先はわかりません。以下の手順で確認・連絡を行います。
2-1. 戸籍の附票を取得する
戸籍と一緒に保管されている書類で、現住所を確認できます。
- 取得場所:その相続人の本籍地の市区町村役場
- 請求には請求者の身分証明(相続人であることが分かる書類)が必要です
2-2. 丁寧なお手紙を送る
住所が判明したら、まずは手紙で「相続人であること」を知らせます。
突然の連絡に驚く方も多いため、やさしい文章で状況を説明することが大切です。
3. 相手の反応に応じて進める
手紙を出した後の展開は、相手の出方によって変わります。
- 協力してくれる場合:遺産分割協議をスムーズに進められます。
- 遺産を欲しいと主張する場合:話し合いで分割方法を調整します。
- 関わりたくないと辞退される場合:書面で意思を確認して、協議から除外できます。
なお、「相続には関わりたくない」「借金があるかもしれない」という場合には、相続放棄という選択肢が検討されることもあります。
手続き期限や注意点については、こちらの記事も参考になさってください。
▶相続放棄は自分だけで終わらない?親・兄弟に広がる連鎖と相続順位 - 返信がない場合や話し合いがまとまらない場合:家庭裁判所での調停を検討します。
- 調停は、相続人間で合意が難しい場合に、裁判所を介して話し合いを進める手続きです。
- 期間は数か月~半年程度かかることがあります。
4. 将来のトラブルを防ぐために:遺言書の作成
- 疎遠な相続人がいる場合、生前に遺言書を作成することが非常に有効です。
「相続人同士が疎遠」「連絡が取りづらい」というケースでは、遺言書の有無が手続きの負担を大きく左右します。
自筆証書遺言と公正証書遺言の違いや、それぞれの特徴については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶「公正証書遺言と自筆証書遺言の違いとは?費用・リスク・必要書類まで徹底解説」
- 誰に、どの財産を、どれだけ渡すかを明確にしておくことで、残された家族が会ったこともない親族と交渉する必要がなくなります。
また、相続人同士の連絡調整や手続きを円滑に進めるために、「遺言執行者」を指定しておく方法もあります。
誰が手続きを進めるのかを明確にしておくことで、ご家族の負担軽減にもつながります。
▶「遺言執行者とは?いる場合・いない場合の違いと手続きの注意点」
- 財産の多い・少ないに関わらず、「家族に負担をかけないための思いやり」として遺言を残すことが大切です。
- 安全性を高めるなら、公正証書遺言にしておくと、紛失や改ざんの心配もなく安心です。
特に、農地や空き家など不動産が含まれる相続では、相続人全員の協力が必要になる場面が多くあります。
農地相続で困りやすいポイントについては、こちらの記事でも解説しています。
▶農地を相続して困ったら?確認すべき3つのポイントと手続き
まとめ
- 会ったことのない相続人でも、手続きを進めるには連絡と同意が必要です。
- 戸籍の附票や手紙を活用して、丁寧に連絡を取ることが重要です。
- 話し合いが難しい場合は、家庭裁判所での調停も検討します。
- 疎遠な相続人がいる場合、遺言書を生前に作っておくことが、家族の平穏を守る最大の備えです。
相続は家族の未来にも関わる大切な手続き。事前の準備と丁寧な対応が、後々のトラブルを防ぐカギになります。
「家族に負担をかけたくない」というお気持ちは、エンディングノートを書くきっかけにもなります。
まずは一言から始める終活については、こちらの記事でもご紹介しています。
▶「エンディングノートが書けない方へ|一言から始める終活」
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