字が書けなくても遺言は残せます|「書けないから」と諦める前に知ってほしい公正証書遺言
「家族のために遺言を残したいけれど、病気や加齢で思うように字が書けない……」
「手が震えてしまうから、もう遺言を書くのは無理かしら?」
そんな不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、文字を書くことが難しくなっても、ご自身の想いを法的に確かな形で残す方法はちゃんとあります。
私は相続手続相談員として、そして介護福祉士として、多くの高齢者の方と接してきました。
その経験から、ぜひ知っておいていただきたいのが**「公正証書遺言」**という方法です。
「無理をして書く」ことが、かえってトラブルを招くことも
以前、こんなケースがありました。
文字を書くことが非常に困難な状態でありながら、「どうしても自分の手で」という強い想いから自筆証書遺言を遺された方がいらっしゃいました。
しかし、ご本人が亡くなられた後、その遺言書がきっかけで**「争続(争う相続)」**へと発展してしまったのです。
相続分が少なかった一部の親族から、
「この震えた字は、本当に本人が書いたものなのか?」
「誰かに無理やり書かされたのではないか?」
と、筆跡を疑う声が上がってしまいました。
良かれと思って遺した自筆の遺言が、結果として家族の絆にひびを入れてしまう。
これほど悲しいことはありません。
公正証書遺言なら「書けなくても」大丈夫
こうしたリスクを避けるために有効なのが、公証役場で作成する「公正証書遺言」です。
公正証書遺言には、自筆証書遺言にはない大きなメリットがあります。
■ 代筆が可能
公証人があなたのお話(口授)を直接聞き取り、遺言書を作成します。
ご自身で一文字も書く必要はありません。
■ 署名が難しい場合にも対応できる
お名前を書くことが難しい場合は、公証人がその理由を付記することで、署名に代えることができます。
■ 筆跡争いのリスクがない
公証人が本人確認を行い、意思を確認したうえで作成するため、後から「偽造だ」「筆跡が違う」と争われるリスクを最小限に抑えることができます。
入院中や外出が難しい場合でも
「でも、今は入院中(あるいは施設に入所中)で、公証役場まで行けないから……」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、公証人が病院やご自宅、介護施設まで出張して遺言書を作成すること(出張作成)が可能です。
ベッドの上であっても、お話しさえできれば、法的に有効な遺言を残すことができます。
動けないから、書けないからと、大切な想いを諦める必要はまったくないのです。
終わりに:専門家と一緒に、一番安心な形を
遺言書は、残された家族への最後のお手紙でもあります。
そのお手紙がきっかけで家族が争うことがないよう、形を整えておくことは、ひとつの「優しさ」だと私は考えています。
「何から手をつければいいかわからない」
「まずは話だけ聞いてほしい」
という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
あなたの大切な想いを、一番安心できる形で残すお手伝いをさせていただきます。
