「うちは揉めない」が一番危険?相続トラブルの前兆5選
こんにちは。行政書士の安居院麻紀(あぐいまき)です。
「うちの親はまだまだ元気だし、きょうだい仲もいいから相続のことなんて先の話」 そう思っていませんか?
実は、相談現場で一番多いのが「まさかうちの家族が揉めるなんて思わなかった…」という言葉です。
トラブルは、ある日突然起こるのではなく、親御さんが元気なうちから小さなサインとして現れていることがほとんど。
今回は、将来の相続トラブルを未然に防ぐために、今すぐチェックしたい「もめる前兆5選」を、
私の実体験や実務での気づきを交えて分かりやすく解説します。
前兆① 通帳の場所を誰も知らない
みなさんは、親御さんがどこに通帳をしまっているかご存知ですか?
実は私の父のお話なのですが、昔、通帳を「畳の下」に隠していたんです。
通帳を出すたびに、あの重い畳をよっこらしょと持ち上げていて……。
私の小さい頃の通帳の思い出といえば、なんだか「かび臭いなぁ」というものでした(笑)。
当時はそれが父なりの防犯対策だったのだと思いますが、今の時代、もし親御さんがその場所を誰にも言わずに認知症になってしまったり、突然のことがあったりしたら大変です。
「どこの銀行に、いくらあるのか分からない」というのは、残された家族が一番途方に暮れる原因になります。
手続きが遅れるだけでなく、「実は他にも隠し財産があるのでは?」ときょうだい間で疑心暗鬼を生むきっかけにもなってしまうのです。
前兆② 実家を継ぐ人が曖昧
親が元気なうちに、実家をどうするのかを家族で話しておくことは、将来の“争族”予防にとても大切です。
相続財産のほとんどが「実家」という家庭は少なくありません。
しかし、不動産は簡単に平等に分けられないため、きょうだい間のトラブルにつながりやすいのが現実です。
実家相続で起きやすい問題を分かりやすく解説しています。
▶「なぜ実家相続は揉める?不動産しかない家庭で起きやすい争族」
特に、親御さんが田舎に住んでいて、子ども世代が都会などの遠方に暮らしている場合は要注意です。
すでに自分たちのマイホームを購入している子どもたちにとって、遠く離れた実家を引き継ぐのは簡単なことではありません。
住む予定のない実家は、一歩間違えれば維持費や税金だけがかかり続ける「負動産(ふどうさん)」になってしまいます。
「売りたいのに買い手がつかない」というケースも本当に多いのです。
さらに気をつけたいのが、親御さんが存命のうちに施設へ入居するケースです。
もしその時点で親御さんが認知症になってしまっていたら、実家を売るに売れなくなってしまいます。
自宅を売却するために「成年後見」の申し立てをしなければならなくなり、手続きが非常に煩雑になって家族の負担が増えてしまう
……というのも、よくあるもめる前兆の一つです。
前兆③ 「長男だから当然」という意識がある
今の高齢者世代の親御さんにとっては、やっぱり「家や財産は長男に託すもの」という意識が根強く残っているのが現実です。
しかし、その子ども世代(今の40代〜60代)の意識は違います。
「今の法律では、きょうだいの相続分は全員平等でしょ?」という考え方が一般的です。
ここに、親世代と子世代、あるいは長男ときょうだいたちとの間で大きな「ズレ」が生じています。
この意識のズレを放置したままいざ相続が発生すると、「長男だから多くもらって当然」という主張と、
「平等に分けるべきだ」という主張がぶつかり合い、一気に関係がこじれてしまう原因になります。
前兆④ 親が「うちは揉めない」と言っている
実は、相談現場で親御さんから一番多く聞く言葉が、この「うちは揉めないから大丈夫」なんです。
でも、なぜそんなに自信を持って「揉めない」と思えるのでしょうか……?
ぜひ一度、理由を聞いてみたいくらいです(法律の世界では、これが一番危ないサインと言われています)。
親御さんは「子どもたちの仲が良いから」と信じて疑いません。
しかし、実際に揉めるのは子ども同士というよりも、その背後にいる「配偶者(夫や妻)」が意見を出してきたり、
それぞれの生活事情(子どもの教育費や住宅ローンなど)が絡んできたりするからです。
親の目の届かないところで、子どもたちにはそれぞれの守るべき生活があります。
その現実が見えていないことこそが、最大の盲点なのです。
前兆⑤ 介護をした人の不満が蓄積している
親御さんの看病や介護を、特定のお子さんが担っているケースです。
ここで特に知っていただきたいのが、実際に毎日一生懸命お世話をしているのが、実は法律上の相続権を一切持たない「お嫁さん(息子の妻)」という立場の方も非常に多いという現実です。
どれだけ心身を削って介護をしていても、周りのきょうだいたちから「やってもらって当たり前」と思われていたり、なんの配慮もなかったりしたら、不満や悲しみはどんどん蓄積していきます。
もちろん、遠方で暮らしていたり、仕事や家庭の事情で思うように関われなかったご家族にも、それぞれ事情があります。
だからこそ、“誰がどれだけ大変だったか”を相続発生後に初めてぶつけ合うのではなく、元気なうちから気持ちを共有しておくことが大切なのです。
そして親御さんに万が一のことがあった時、「自分(の妻)ばかりがこんなに大変な思いをしたのに、財産を分ける時だけ全員平等だなんて絶対に納得いかない!」と、それまでの感情が一気に爆発して話し合いがストップしてしまうのです。
まとめ:「まだ早い」は「今が始めどき」
いかがでしたでしょうか?
「もめる」というのは、決して家族の中に欲張りな人がいるからだけではありません。
ちょっとした「意識のズレ」や「準備不足」、そして日頃の「言葉足らず(感謝不足)」が原因です。
親御さんが元気な今だからこそ、笑い話に変えながら「お父さん、まさか通帳、畳の下に隠してないよね?」なんて聞いてみるのも立派な第一歩です(笑)。
まずは通帳の場所を確認したり、一緒にエンディングノートを開いてみたりすることから始めてみませんか?
「法定相続分で平等に分ければ安心」と思っていませんか?実は、不動産しかない家庭では“平等”がかえってトラブルの原因になることも。
エンディングノートを書く前に知っておきたい注意点を解説しています。
▶「エンディングノートの『法定相続分で分ける』に安易にチェックを入れてはいけない理由」
大切なご家族の絆を守るために、「まだ早い」と思う今こそが、これからの安心を話し合う最高のタイミングです。
何か少しでも不安なことや、どう切り出していいか分からないことがあれば、いつでもお気軽に私にご相談くださいね。
優しく寄り添いながら、一緒にベストな方法を考えていきましょう。
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