相続手続きの第一歩は「相続人の特定」|戸籍収集が必要な理由とは?

「相続手続きって、まず何から始めればいいの?」

そう聞かれることがよくあります。

相続手続きは、100種類以上あるとも言われています。
もちろん、すべての方に100種類すべての手続きが必要なわけではありません。

ただ、その中でもほぼ全員に共通して必要になる“最初のステップ”があります。

それが、

「相続人の特定」

です。

どんなに財産があっても、まず「誰が相続人なのか」が確定しなければ、手続きを進めることができません。

今回は、相続手続きの第一歩である「相続人の特定」について、行政書士の視点からわかりやすく解説します。


1. 「家族だから分かっている」は通用しない?

例えば、お父さまが亡くなったとします。

ご家族としては、

  • お母さま
  • 長男
  • 長女

の3人が相続人だと認識しているかもしれません。

もちろん、実際にその通りのケースも多いでしょう。

しかし、相続手続きでは、

「私たちは家族だから分かっています」

という説明だけでは進めることができません。

銀行、不動産登記、証券会社などでは、

「客観的な証拠」

が必要になります。

その証拠となるのが、戸籍です。


2. なぜ「出生から死亡まで」の戸籍が必要なの?

相続では、亡くなった方の

  • 戸籍謄本
  • 除籍謄本
  • 改製原戸籍

などを収集し、

「出生から死亡まで連続した戸籍」

を確認していきます。

「今の戸籍だけではダメなの?」

と思われる方も多いのですが、現在の戸籍だけでは、過去の家族関係が分からないことがあるためです。

例えば、

  • 前婚で子どもがいた
  • 認知した子がいる
  • 養子縁組をしていた

などは、古い戸籍をたどって初めて分かるケースがあります。

そのため、銀行や法務局では、出生から死亡までの連続した戸籍の提出を求められるのです。


3. 戸籍を集めると「人生の流れ」が見えてくる

戸籍を順番に見ていくと、

  • 生まれた場所
  • 結婚
  • 転籍
  • 子どもの誕生
  • 配偶者との関係

など、その人の人生の流れが見えてきます。

まるで、一冊の人生年表をたどるような感覚になることもあります。

ただし、古い戸籍は手書きで読みにくいことも多く、

「これ、何て書いてあるの?」

と悩まれる方も少なくありません。

特に明治・大正時代の戸籍は、慣れていないと解読が難しい場合もあります。


4. 相続人の特定で実際によくあるケース

戸籍収集を進めていくと、思いがけない事実が分かることがあります。

例えば、

  • 前妻との間に子どもがいた
  • 疎遠だった兄弟姉妹がいた
  • 養子縁組をしていた
  • 婚外子が認知されていた

などです。

「戸籍を見て初めて存在を知った」

というケースも、実際には珍しくありません。

だからこそ、相続では「思い込み」ではなく、戸籍による確認がとても重要になるのです。


5. 相続人が確定すると、次の手続きへ進める

相続人が確定すると、ようやく次の手続きへ進めます。

例えば、

  • 不動産の名義変更(相続登記)
  • 預貯金の解約
  • 有価証券の移管
  • 遺産分割協議書の作成

などです。

逆に言えば、相続人が確定しなければ、多くの手続きが止まってしまいます。

そのため、「相続人の特定」は相続手続きの土台とも言える大切な作業なのです。


6. 戸籍収集は早めの準備がおすすめ

戸籍収集は、思っている以上に時間がかかることがあります。

特に、

  • 転籍が多い
  • 本籍地が遠方
  • 古い戸籍が多い
  • 相続人が多い

といったケースでは、何通もの戸籍を取り寄せる必要があります。

最近では「広域交付」により、本籍地以外の役所でも戸籍を取得できる制度が始まりましたが、内容によっては従来どおり個別請求が必要なこともあります。

「まだ大丈夫」と思っていても、気づけばかなり時間が経っていた…

ということも少なくありません。


おわりに

相続手続きでは、まず「誰が相続人なのか」を正確に確認することが大切です。

戸籍収集は、一見地味な作業に見えるかもしれません。

しかし、

  • 相続人の見落としを防ぐ
  • 手続きをスムーズに進める
  • 後々のトラブルを防ぐ

ための、とても重要な第一歩です。

「戸籍が読めない」
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