家族信託は資産3,000万円でも必要?任意後見との違いもわかりやすく解説
「家族信託って、不動産をたくさん持っている人のための制度ですよね?」
このような質問を受けることがあります。
確かに、家族信託はアパートや貸家などの収益不動産を持っている方に利用されることが多い制度です。
しかし、実際には財産の内容やご家庭の状況によって、本当に家族信託が必要なのかは変わってきます。
今回は、実際によくあるケースをもとに考えてみたいと思います。
あるお父さんのケース
お父さんは80代。
現在は自宅で一人暮らしをしています。
財産としては、
・自宅
・貸駐車場(月収約100,000円)
・証券会社の口座に3,000万円以上の金融資産
があります。
さらに年金収入が月20万円ほどあります。
お子さんからすると、
「もし将来施設に入ることになっても、お金の心配はなさそう」
と思える状況です。
では、このケースでは家族信託が必要なのでしょうか。
最初は「家族信託が必要かも」と思いました
証券会社に3,000万円以上の資産があると聞くと、
「認知症になったら売却できなくなるのでは?」
と思います。
実際、認知症によって判断能力が低下すると、
・株式の売却
・投資信託の解約
・資産運用の方針変更
などが難しくなる可能性があります。
そのため、家族信託を利用して財産管理を行うケースもあります。
ところが、このお父さんのケースをよく見てみると、少し違う景色が見えてきます。
毎月の収入だけで生活できるかもしれない
お父さんには、
・年金 月20万円
・駐車場収入 月10万円
があります。
合計すると月30万円ほどになります。
施設によって費用は異なりますが、一般的な介護施設であれば、この収入だけでかなりの部分を賄える可能性があります。
つまり、
「認知症になったら、すぐに3,000万円の金融資産を売らなければならない」
とは限らないのです。
本当に困るのは何か
ここで大切なのは、
「財産がいくらあるか」
ではなく、
「認知症になった後、何に困るのか」
を考えることです。
認知症になると、預貯金や不動産はどのように管理すればよいのでしょうか。
詳しくは、こちらの記事で解説しています。
▶ 認知症になると銀行口座はどうなる?財産管理で知っておきたいポイント
例えば、
・施設入所の契約は誰がするのか
・年金が振り込まれる口座は誰が管理するのか
・介護サービスの契約は誰がするのか
といった問題です。
このケースでは、金融資産の売却よりも、
「認知症になった後の契約や財産管理」
の方が大きな課題になるかもしれません。
任意後見契約という選択肢
このようなケースでは、家族信託だけでなく任意後見契約も検討する価値があります。
任意後見契約とは、
「将来認知症になったら、この人に支援してもらいたい」
という約束を元気なうちにしておく契約です。
認知症などで判断能力が低下した後、家庭裁判所の手続きを経て、あらかじめ契約しておいた人が、家庭裁判所で任意後見監督人が選任された後、本人を支援することになります。
財産管理や契約手続きなどについて本人を支援することができます。
任意後見契約について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
▶ 親の預金が凍結…? 施設入所で困る前に知っておきたい「任意後見」
家族信託が向いているケース
一方で、
・将来自宅を売却する可能性が高い
・施設費用のために金融資産を計画的に取り崩したい
・賃貸アパートなど収益不動産を所有している
という場合には、家族信託が有力な選択肢になることもあります。
制度よりも「困りごと」から考える
相続や認知症対策の相談を受けていると、
「家族信託をした方がいいですか?」
という質問を受けることがあります。
しかし、本当に考えるべきなのは、
「家族信託が必要か」
ではありません。
「将来どんなことで困る可能性があるのか」
です。
その困りごとによって、
・家族信託
・任意後見契約
・財産管理委任契約
・遺言書
など、選ぶべき制度は変わってきます。
家族信託だけでなく、任意後見契約など、生前対策にはさまざまな方法があります。
ご自身に合った制度を選ぶためにも、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 親が認知症になったら預金は引き出せない?家族信託と任意後見契約の違いを解説
まとめ
家族信託はとても有効な制度ですが、すべての人に必要なわけではありません。
今回のケースでは、
「3,000万円の資産があるから家族信託」
ではなく、
「認知症になった時に何に困るのか」
を考えることが大切でした。
将来の認知症対策や相続対策は、ご家庭によって必要な準備が異なります。
ご自身やご家族の場合はどうなのだろう?
そう思われた方は、お気軽にご相談ください。
遺言書の作成についても、早めに準備しておくことでご家族の負担を減らすことができます。
▶遺言書はいつ書くべき?60代から始める相続対策のタイミング
行政書士あぐいまき事務所では、相続・遺言・任意後見契約など、生前対策に関するご相談を承っております。
LINEからも受け付けております。
「ちょっと聞いてみたい」という内容でも大丈夫です。
