「遺言を書いて」が親を傷つけることもある|専門家が感じる“伝え方”の大切さ
こんにちは。行政書士の安居院(あぐい)です。
爽やかな新緑の季節になりましたね。秦野の山々も、今はとても美しい緑に包まれています。
さて、今日はご家族の方からよくいただく、ある「切実なご相談」についてお話ししたいと思います。
「親に遺言を書かせたいのですが…」
こうしたご相談をいただく機会は少なくありません。
その裏には、「将来、家族が手続きで困らないように」「きょうだい仲良くしてほしい」という、
ご両親を想う温かな愛情があることを、私はいつも感じています。
ただ、私たち行政書士がお手伝いする上で、とても大切にしていることがあります。
それは、遺言は「書かせるもの」ではなく、ご本人が「書きたい」と思って書くものだということです。
遺言は決して強制ではありません。
むしろ、「書いて!」と強く言ってしまうと、ご両親は「まだ元気なのに縁起でもない」「自分の死を待っているのか」と、
心を閉ざしてしまうこともあるのです。
実際には、「家族のためを思って」が、思わぬ誤解につながってしまうこともあります。
実際にあった、悲しいすれ違い
以前、このようなケースがありました。
ある方が入院中、急に「やはり遺言を残しておこう」と思いたち、ご自身で「自筆証書遺言」を書かれました。
ご本人の希望は何とか書き切ることができたのですが、体力が衰えていたため、どうしてもいつもの力強い筆跡とは異なってしまったのです。
残念なことに、その後、一部のご親族から「これはお父さんの字じゃない」「誰かが偽造したのではないか」と疑いの声が上がってしまいました。
自筆証書遺言は、ご本人だけで作成できる反面、形式不備や筆跡を巡るトラブルが起こることもあります。
公正証書遺言との違いについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶公正証書遺言と自筆証書遺言の違いとは?費用・リスク・必要書類まで徹底解説
ご本人は、家族が揉めないようにと必死にペンを握られたはずです。
それなのに、その筆跡が原因できょうだいの間に亀裂が入ってしまう……。
そんな悲しいすれ違いは、絶対に避けなければなりません。
言い方を少しだけ変えてみませんか?
ご両親の多くは、「うちは揉めるほど財産はない」「きょうだい仲良く分け合ってくれるはず」と信じていらっしゃいます。
その安心感を壊さずに、でも「確かな形」で残していただくには、どうすればいいのでしょうか。
もしよろしければ、「遺言を書いて」ではなく、こんな風に声をかけてみませんか?
「これからのこと、一度専門家の人に一緒に話を聞きに行ってみない?」
「遺言」という言葉を一旦横に置いて、第三者である専門家に、まずはご両親が今どんな想いでいるのかを聴いてもらう場を作るのです。
「想い」を聴くことが、一番の近道
私たちのような専門家が間に入ることで、ご両親も「実はこんなことが心配だった」「本当はこうしてあげたい」という本音を、
リラックスして話せることがあります。
頭ごなしに準備を勧めるのではなく、まずはご両親の胸の内をゆっくりとお伺いすること。
それが、結果として円満な相続への「一番の近道」になることが多いのです。
秦野でも、「何から始めればいいかわからない」というご相談は本当に多くあります。
「何から話せばいいかわからない」という状態でも大丈夫ですよ。
お茶を飲むような気持ちで、まずはゆっくりお話を聞かせてくださいね。
あなたのご家族の架け橋になれたら嬉しいです。
LINEからも受け付けております。
「ちょっと聞いてみたい」という内容でも大丈夫です。

