おひとり様の相続|「妹にすべて遺したい」を叶える遺言書と終活対策
こんにちは。行政書士の安居院(あぐい)です。
日々ご相談をお受けする中で、特におひとり様の方からこのような切実な想いを伺うことがあります。
「自分に万が一のことがあったら、施設にいる妹にすべてを遺したい。でも、疎遠な甥や姪には頼りたくないし、かといって妹に負担をかけるわけにもいかない……」
今日は、そんな温かい想いを守り、現実的な不安を解消するための「最善の選択肢」を、行政書士の視点からわかりやすく整理してお伝えします。
1. 遺言書は「妹さんへの愛」を守る盾
まず知っておいていただきたいのは、「遺言書」こそがあなたの願いを叶える最強の味方であるということです。
今回のように、相続人が「兄弟姉妹(およびその子どもである甥・姪)」になるケースでは、遺言書がないと、疎遠な親族全員で話し合いをしなければなりません。
実は、兄弟姉妹や甥・姪には「遺留分(最低限もらえる権利)」がありません。
つまり、遺言書で「すべての財産を妹に相続させる」とはっきり書いておけば、甥や姪に財産が渡ることを防ぎ、あなたの願いを100%形にすることができるのです。
2. 「ただ書く」だけでは足りない?おひとり様の落とし穴
しかし、独居の方の場合、せっかく書いた遺言書が「見つからない」というリスクがあります。
- 自筆で家に置くリスク: 万が一の際、遺言書に気づかれないまま、法律通りに親族で分けられてしまうかもしれません。
- 後からのトラブル: 遺産分けが終わった後に遺言書が見つかると、取り戻すための大きな争いになり、妹さんに多大な負担を強いることになります。
だからこそ、おひとり様の場合は「遺言書の保管場所」がとても重要です。
3. 安心を支える「法務局」と「専門家」の活用
自筆で書きたい場合は、ぜひ「法務局の自筆証書遺言書保管制度」を利用してください。
あらかじめ指定した人に、亡くなったことを法務局が通知してくれる仕組みがあるため、「見つからない」という心配がなくなります。
さらに確実性を求めるなら、「公正証書遺言」が一番の正解です。
公証役場で作成するため改ざんの心配がなく、私たち専門家がお手伝いした場合は、手元に控え(謄本)を預かっておくこともできるため、非常にスムーズです。
4. 「もしも」のその先まで、専門家に託す安心
妹さんが施設にいらっしゃる場合、あなたにもしものことがあっても、妹さんが不動産の名義変更や銀行の手続きを自分で行うのは難しいのが現実です。
そこで、遺言書の中で「遺言執行者」として専門家を指名しておくことをおすすめします。
私たちがあなたの代理人として手続きをすべて代行することで、妹さんは何も心配することなく、あなたの想いを受け取ることができます。
また、もし「妹さんが先に旅立たれたら、その次は誰に遺すか」といった予備の計画(予備的遺言)や、ご自身の認知機能が衰えた時のための「任意後見契約」も、今から総合的に考えておくと、より一層の安心に繋がります。
任意後見については別記事でも解説しています。
▶「任意後見は全員に必要?『私には必要かしら』と迷った時の判断目安」
幸せな未来のための「総合設計」
「親族に迷惑をかけたくない」というお気持ちは、自分自身の人生を大切にされている証拠です。
専門家を上手に活用することは、決して冷たいことではなく、大切な家族や自分自身の尊厳を守るための「優しさ」なのです。
一人で抱え込まずに、まずはゆっくりとお話を聞かせてください。
あなたの心に寄り添いながら、介護の視点も交えて、一緒に「これからの安心」を描いていきましょう。
当事務所では、遺言・任意後見・死後事務委任・相続手続まで、介護の視点も交えながら、将来への備えを一緒に整理しています。
どうぞお気軽にご相談ください。
LINEからも受け付けております。
「ちょっと聞いてみたい」という内容でも大丈夫です。
関連記事
・「公正証書遺言と自筆証書遺言の違いとは?費用・リスク・必要書類まで徹底解説」
→ 自分に合った遺言書の選び方を知りたい方へ
・「遺言執行者とは?役割・選び方・注意点をやさしく解説」
→ 亡くなった後の手続きを誰に託すか不安な方へ
・「亡くなった後の『現実的なお片付け』を託す――死後事務委任契約というバトン」
→ 葬儀・解約・片付けなど、死後の実務を事前に備えたい方へ
・「エンディングノートが書けない方へ|一言から始める終活」
→ 「まだ遺言は早いかも…」という方へ

