息子2人でも安心できない?親が考えておきたい相続のポイント
「うちは大丈夫」と思っていませんか?
相続の手続き相談を受けていた頃、私は毎日のように
「もっと早く準備をしていれば、こんなに揉めずに済んだのに…」
というご家族の涙や怒りに接してきました。
だからこそ、遺言やエンディングノートの大切さを一人でも多くの方に伝えたい。
そう思って活動しています。
そんな中、先日お会いした87歳の紳士との対話で、その「伝える難しさ」を改めて痛感しました。
「息子二人だから、半分ずつでいい」の落とし穴
その方は、こうおっしゃいました。
「うちは息子が二人だけ。二人が仲良く半分に分けてくれたらいいんだよ」
一見、公平で平和な解決策に聞こえます。
しかし、専門家の視点から見ると、そこにはいくつもの「火種」が隠れています。
例えば、こんな声が出てくることがあります。
・「兄さんは大学の費用を出してもらったじゃないか」
・「弟は家を建てる時に援助を受けていたはずだ」
数十年前の出来事でも、相続という場面では鮮明に蘇ります。
さらにお話を伺うと、その方はご自宅(次男夫婦と同居中)のほかに、もう一箇所不動産をお持ちでした。
もし長男が「不動産も含めてきっちり法定相続分の半分が欲しい」と主張した場合、どうなるでしょうか。
次男は代償金を支払う必要があります。
しかし、それが難しければ、
・自宅を売却する
・不動産を共有名義にする
といった選択を迫られることになります。
どちらも、決して簡単な決断ではありません。
「不動産相続で揉める典型パターン」の記事はこちら
➡うちは普通が一番危ない|遺産が「実家のみ」の相続で揉める理由と対策
こうした具体的なリスクをお話ししても、その方の反応は
「そうなのか……」と、どこか他人事のようでした。
過去の「争族」を経験していても、自分は別?
驚いたことに、その方ご自身も、過去に親御さんの相続でご兄弟と揉めた経験をお持ちでした。
それでもなお、
「自分の子どもたちは揉めるわけがない」
と信じて疑わないのです。
言葉の端々からは、
「自分はもういないのだから、後のことは関係ない」
「今、自分が幸せならそれでいい」
そんなニュアンスも感じられました。
同じように「うちは大丈夫」と思っている方も、決して少なくないのではないでしょうか。
「困っていない人」にどう届けるか
相続手続きを仕事にしていた頃は、すでに「困っている方」が相談に来てくださいました。
だからこそ、話はスムーズに進みました。
しかし、
・まだ何も起きていない
・自分は大丈夫だと思っている
そうした方に、遺言やエンディングノートの必要性を伝えるのは、想像以上に難しいことです。
家族が「書いてほしい」と伝えても、それは時に
「死を急かされている」
と受け取られてしまうこともあります。
寄り添い、種をまき続けること
今回の1時間半、その方の昔話に耳を傾けながら強く感じたのは、
正論やリスクを伝えるだけでは、人の心は動かない
ということでした。
その方の人生や想いに寄り添い、
その大切な歴史が「争い」という形で終わらないように守ること。
そのためには、もっと違う伝え方が必要なのかもしれません。
相続は「感情」の問題
相続は、お金の問題ではなく「感情」の問題です。
「うちは大丈夫」と思っている方にこそ、
少しだけ未来のことを考えてみてほしい。
まずは、エンディングノートの1ページだけでも構いません。
ご自身の想いを書き残すことが、ご家族を守る第一歩になります。
いつか届くことを信じて、これからも私は、この大切な話を伝え続けていきます。
相続の話をどう切り出せばいいか悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
ご家族に負担をかけない伝え方を一緒に考えます。
▶行政書士あぐいまき事務所
