相続した不動産がいらない!放棄・売却・国庫帰属制度をわかりやすく解説

こんにちは。
神奈川県秦野市の行政書士、安居院です。

「実家を相続したけれど住む予定がない」
「山林や別荘地を相続したけれど使い道がない」
「固定資産税や管理の負担が心配」
このようなお悩みを抱えている方は少なくありません。

実際に先日、親戚の方からこんなお話を聞きました。

「昔、相続で土地をもらったんだけどね。
使い道もないし、いわゆる“負の不動産”なんだよ。
子どもに迷惑をかけたくないから処分したいとは思っているんだけど……」

そこで、
「固定資産税の納税通知書はありますか?」
とお聞きしたところ、

「課税されていない土地みたいで通知書は来ていないんだよね」
「権利証はあると思うけど、どこにあるか分からない」
とのことでした。

このように、
「処分したいけれど何から始めればいいのか分からない」
というケースは意外と多いのです。

不動産の処分を考える前に、まずは相続手続き全体の流れを把握しておくことが大切です。
相続が発生したら何から始める?手続きの流れをわかりやすく解説



相続した不動産だけ放棄することはできる?

まず結論からお伝えすると、
不動産だけを放棄することはできません。

相続放棄は、
「土地だけ放棄して預貯金は相続する」
ということはできず、

プラスの財産もマイナスの財産も含めて、すべての相続権を放棄する手続きです。

そのため、
「実家はいらないけれど預金は受け取りたい」
という場合には、相続放棄は適していません。

相続放棄について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
相続放棄は自分だけで終わらない?親・兄弟に広がる連鎖と相続順位


相続した不動産がいらないときの4つの対処法

① 相続して売却する

最も一般的な方法です。

相続登記を行い、自分名義に変更したうえで売却します。

住宅地や空き家であれば、買い手が見つかる可能性もあります。

相続した空き家の売却手続きについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
相続した空き家を売却するまでの流れ【5ステップ解説】


② 他の相続人に取得してもらう

兄弟姉妹など複数の相続人がいる場合は、
遺産分割協議によって他の相続人に取得してもらう方法もあります。

ただし、相手の同意が必要です。

遺産分割協議を行う前に、まずは相続人を正確に把握する必要があります。
相続人の確定とは?戸籍収集でつまずくポイントをわかりやすく解説

他の相続人に取得してもらう場合は、遺産分割協議が必要になります。
遺産分割協議とは?進め方とトラブル回避【不動産相続は要注意】


③ 相続放棄をする

借金が多い場合や、相続財産全体を引き継ぎたくない場合は相続放棄を検討します。

ただし、
相続放棄をすると預貯金なども相続できなくなります。

また、
相続開始を知った日から3か月以内
という期限があります。


④ 相続土地国庫帰属制度を利用する

2023年から始まった制度です。

一定の条件を満たした土地については、国へ引き取ってもらえる可能性があります。

ただし、
・建物がないこと
・境界が明確であること
・管理上問題がないこと
などの条件があります。

さらに負担金も必要になるため、
すべての土地が対象になるわけではありません。


「処分したいけれど動けない」状態が危険な理由

実は一番多いのが、
「そのうち何とかしよう」
と思いながら何年も放置してしまうケースです。

例えば、
・固定資産税が課税されていない
・利用していない土地
・権利証の保管場所が分からない

こうした状態になると、
緊急性を感じにくくなります。

しかし、放置することで別の問題が生じます。


本当に怖いのは“その後”です

今はご本人が把握しているから問題なくても、
・認知症になった
・家族に伝えないまま亡くなった
という場合はどうでしょうか。

土地の存在を家族が知らなければ、
相続手続きの際に把握できない可能性があります。

すると、
「後から土地が見つかった」
「再度相続手続きが必要になった」
というトラブルにつながることがあります。


山林・別荘地・原野は特に注意

昔購入した別荘地や地方の山林は、
いわゆる“負の不動産”になりやすい傾向があります。

・利用予定がない
・買い手が見つからない
・維持管理の負担がある
・相続人が引き継ぎたがらない

このようなケースでは、早めに対策を検討することが大切です。


今できる対策

元気なうちに次のことを確認しておきましょう。

□ 不動産の所在地を確認する

□ 登記事項証明書を取得する

□ 権利証(登記識別情報)の保管場所を確認する

□ 売却できる可能性を調べる

□ エンディングノートに記載する

□ 家族へ伝えておく

これだけでも将来の負担は大きく変わります。


よくある質問

Q. 固定資産税がかかっていない土地も相続されますか?

A.
はい、相続されます。
固定資産税が課税されていない土地であっても、不動産である以上は相続財産に含まれます。


Q. 権利証が見つからない場合はどうなりますか?

A.
権利証がなくても売却や登記が絶対にできなくなるわけではありません。
ただし手続きが複雑になる場合があるため、早めに確認しておくことをおすすめします。


Q. 相続土地国庫帰属制度を利用すれば必ず引き取ってもらえますか?

A.
いいえ。
一定の要件を満たす必要があり、すべての土地が対象になるわけではありません。


Q. 相続した土地を放置するとどうなりますか?

A.
固定資産税や管理責任が続くだけでなく、次の世代の相続手続きが複雑になる可能性があります。


まとめ

相続した不動産が不要であっても、
「不動産だけ放棄する」
ことはできません。

そのため、
・売却する
・他の相続人に取得してもらう
・相続放棄する
・相続土地国庫帰属制度を検討する

といった選択肢の中から、自分に合った方法を考えることが大切です。

特に使っていない土地や山林は、
放置しているうちに権利関係が分かりにくくなったり、
次の世代の負担になったりすることがあります。

「うちにも使っていない土地がある」
「どう処分すればいいか分からない」

そんな方は、まず現状を把握することから始めてみましょう。

当事務所では、相続や不動産に関するご相談を初回60分無料で承っております。
ちょっとした疑問でも構いませんので、お気軽にご相談ください。

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