相続で困る「見えない財産」と放置口座|ネット銀行・ネット証券・使っていない通帳に要注意

皆さま、こんにちは。
神奈川県秦野市の行政書士、安居院です。

最近の相続相談で増えているのが、

「ネット銀行やネット証券が把握できていない」
「使っていない通帳がたくさんある」

というケースです。

通帳や郵送物がないため、ご家族がその存在に気づけないことも少なくありません。

また、昔作った銀行口座がそのまま残っており、相続時に初めて存在を思い出すということもよくあります。

実はこれ、決して珍しい話ではなく、誰にでも起こり得る“見えない相続財産”の問題です。

なお、相続手続きではまず「誰が相続人になるのか」を正確に確定することが大切です。
戸籍の集め方やつまずきやすいポイントについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

相続人の確定とは?戸籍収集でつまずくポイントをわかりやすく解説


なぜネット系の資産は見落とされるのか

ネット銀行やネット証券は便利な反面、次のような特徴があります。

  • 通帳がない
  • 郵送物がほとんど届かない
  • スマホやパソコンで管理している
  • ログインしないと残高も確認できない

例えば、

  • 楽天銀行
  • 住信SBIネット銀行
  • SBI証券

などは利用者も多い一方で、ご家族がその存在を知らないケースも少なくありません。


キャッシュカードがあるから安心とは限らない

「キャッシュカードがあるなら大丈夫では?」

と思われる方もいらっしゃいますが、実際はそうとも限りません。

  • カードの存在に気づかない
  • 使っていない口座がある
  • 複数口座を持っている
  • デビットカードと混同される

つまり、

“存在に気づけなければ意味がない”

ということです。


実際の相続では「使っていない通帳」が負担になることも

最近のご相談でも、通帳が6〜7行分ある方がいらっしゃいました。

ただ、実際に現在動いている口座は1行だけ。
その他は、残高が数百円、数千円程度のものがほとんどでした。

これは本当によくあるケースです。

特に、

  • 就職時の給与振込口座
  • 転職先で指定された口座
  • 昔使っていた地方銀行

などは、退職後や転職後に使わなくなり、そのまま残高数百円で放置されていることが少なくありません。


数百円でも手続きは意外と大変

「数百円ならそのままでいいのでは?」

と思われるかもしれません。

実際、実務の現場でも、

「振込手数料の方が高くなるから放置する」

という選択をされる方もいらっしゃいます。

一方で、

「少額でもきちんと解約したい」
「親名義の口座をそのまま残したくない」

という方も多くいらっしゃいます。

考え方は人それぞれですが、口座数が多いほど、

  • 銀行への連絡
  • 戸籍提出
  • 書類作成
  • 解約手続き

など、ご家族の負担が増えるのは間違いありません。

相続では、銀行ごとに戸籍提出を求められることがあります。
戸籍を何度も提出する負担を減らす「法定相続情報一覧図」について、実務目線で分かりやすく解説しています。

「法定相続情報一覧図とは?無料でできる便利な相続手続きを行政書士が解説」

相続手続きの負担軽減となる広域交付制度についても、こちらの記事で解説しています。

「広域交付制度とは?戸籍収集をスムーズにする便利な制度」


本当は「1行」が理想

相続の実務を見ていて感じるのは、やはり口座は少ない方が分かりやすいということです。

理想を言えば、メイン口座を1行にまとめておくのが一番です。

もちろん、

  • 住宅ローン
  • 投資用
  • 事業用
  • 生活費用

などで分けている方もいらっしゃるため、現実的には難しいこともあります。

それでも、

「気づけば7行、8行ある」

という状態は、少し整理できる可能性があります。

難しい場合でも、2〜3行程度に整理しておくだけで、ご家族の負担はかなり変わります。


ネット証券はさらに見つかりにくい

ネット証券の場合は、さらに注意が必要です。

  • キャッシュカードがない
  • 書類が電子化されている
  • アプリのみで完結している

そのため、ご家族が存在そのものに気づかないケースも多いのが現実です。

実際に税理士の先生からも、

「ネット銀行やネット証券の漏れが一番怖い」

というお話を伺ったことがあります。

あとから口座や証券口座が見つかると、

  • 相続手続きをやり直す
  • 遺産分割協議を再調整する
  • 追加費用が発生する

といった可能性もあります。

一度で終わるはずの手続きが二度手間になることで、ご家族の負担も大きくなってしまいます。


相続で困らないための対策

では、どうすればよいのでしょうか。

大切なのは、

「完璧」ではなく「気づける状態を作ること」

です。

① エンディングノートで“見える化”

  • 金融機関名
  • 銀行・証券の種類
  • 登録メールアドレス

などを整理しておくだけでも大きな助けになります。

※パスワードまで書く必要はありません
存在が分かるだけで手続きは進められます。

エンディングノートについては、こちらの記事でもご紹介しています。

エンディングノートは専門家に相談した方がいい?やさしく寄り添うサポートのかたち


② 金融機関を一覧にする

銀行・証券・保険などを一覧化しておくだけでも、漏れをかなり防ぐことができます。


③ 家族へ一言伝えておく

「ネット証券を使っているよ」
「ネット銀行があるよ」

この一言だけでも、相続時には大きな助けになります。


④ 口座を増やしすぎない

口座が多いほど、管理も相続も複雑になります。

理想は1行。
難しい場合でも、2〜3行程度に整理しておくと安心です。


まとめ

ネット銀行やネット証券、そして使っていない通帳は、便利である一方で“見えない財産”になりやすいものです。

  • キャッシュカードがあっても安心ではない
  • ネット証券は特に見落とされやすい
  • 放置口座が多いほど相続人の負担が増える

だからこそ大切なのは、

「家族が気づける状態を作ること」

です。

そして後から困らないためにも、

「今のうちに整理しておくこと」

これが何より重要です。

エンディングノートを活用しながら、できるところから少しずつ整えていきましょう。


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