相続で困る「見えない財産」と放置口座|ネット銀行・ネット証券・使っていない通帳に要注意
皆さま、こんにちは。
神奈川県秦野市の行政書士、安居院です。
最近の相続相談で増えているのが、
「ネット銀行やネット証券が把握できていない」
「使っていない通帳がたくさんある」
というケースです。
通帳や郵送物がないため、ご家族がその存在に気づけないことも少なくありません。
また、昔作った銀行口座がそのまま残っており、相続時に初めて存在を思い出すということもよくあります。
実はこれ、決して珍しい話ではなく、誰にでも起こり得る“見えない相続財産”の問題です。
なお、相続手続きではまず「誰が相続人になるのか」を正確に確定することが大切です。
戸籍の集め方やつまずきやすいポイントについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶ 相続人の確定とは?戸籍収集でつまずくポイントをわかりやすく解説
なぜネット系の資産は見落とされるのか
ネット銀行やネット証券は便利な反面、次のような特徴があります。
- 通帳がない
- 郵送物がほとんど届かない
- スマホやパソコンで管理している
- ログインしないと残高も確認できない
例えば、
- 楽天銀行
- 住信SBIネット銀行
- SBI証券
などは利用者も多い一方で、ご家族がその存在を知らないケースも少なくありません。
キャッシュカードがあるから安心とは限らない
「キャッシュカードがあるなら大丈夫では?」
と思われる方もいらっしゃいますが、実際はそうとも限りません。
- カードの存在に気づかない
- 使っていない口座がある
- 複数口座を持っている
- デビットカードと混同される
つまり、
“存在に気づけなければ意味がない”
ということです。
実際の相続では「使っていない通帳」が負担になることも
最近のご相談でも、通帳が6〜7行分ある方がいらっしゃいました。
ただ、実際に現在動いている口座は1行だけ。
その他は、残高が数百円、数千円程度のものがほとんどでした。
これは本当によくあるケースです。
特に、
- 就職時の給与振込口座
- 転職先で指定された口座
- 昔使っていた地方銀行
などは、退職後や転職後に使わなくなり、そのまま残高数百円で放置されていることが少なくありません。
数百円でも手続きは意外と大変
「数百円ならそのままでいいのでは?」
と思われるかもしれません。
実際、実務の現場でも、
「振込手数料の方が高くなるから放置する」
という選択をされる方もいらっしゃいます。
一方で、
「少額でもきちんと解約したい」
「親名義の口座をそのまま残したくない」
という方も多くいらっしゃいます。
考え方は人それぞれですが、口座数が多いほど、
- 銀行への連絡
- 戸籍提出
- 書類作成
- 解約手続き
など、ご家族の負担が増えるのは間違いありません。
相続では、銀行ごとに戸籍提出を求められることがあります。
戸籍を何度も提出する負担を減らす「法定相続情報一覧図」について、実務目線で分かりやすく解説しています。
▶「法定相続情報一覧図とは?無料でできる便利な相続手続きを行政書士が解説」
相続手続きの負担軽減となる広域交付制度についても、こちらの記事で解説しています。
本当は「1行」が理想
相続の実務を見ていて感じるのは、やはり口座は少ない方が分かりやすいということです。
理想を言えば、メイン口座を1行にまとめておくのが一番です。
もちろん、
- 住宅ローン
- 投資用
- 事業用
- 生活費用
などで分けている方もいらっしゃるため、現実的には難しいこともあります。
それでも、
「気づけば7行、8行ある」
という状態は、少し整理できる可能性があります。
難しい場合でも、2〜3行程度に整理しておくだけで、ご家族の負担はかなり変わります。
ネット証券はさらに見つかりにくい
ネット証券の場合は、さらに注意が必要です。
- キャッシュカードがない
- 書類が電子化されている
- アプリのみで完結している
そのため、ご家族が存在そのものに気づかないケースも多いのが現実です。
実際に税理士の先生からも、
「ネット銀行やネット証券の漏れが一番怖い」
というお話を伺ったことがあります。
あとから口座や証券口座が見つかると、
- 相続手続きをやり直す
- 遺産分割協議を再調整する
- 追加費用が発生する
といった可能性もあります。
一度で終わるはずの手続きが二度手間になることで、ご家族の負担も大きくなってしまいます。
相続で困らないための対策
では、どうすればよいのでしょうか。
大切なのは、
「完璧」ではなく「気づける状態を作ること」
です。
① エンディングノートで“見える化”
- 金融機関名
- 銀行・証券の種類
- 登録メールアドレス
などを整理しておくだけでも大きな助けになります。
※パスワードまで書く必要はありません
存在が分かるだけで手続きは進められます。
エンディングノートについては、こちらの記事でもご紹介しています。
▶ エンディングノートは専門家に相談した方がいい?やさしく寄り添うサポートのかたち
② 金融機関を一覧にする
銀行・証券・保険などを一覧化しておくだけでも、漏れをかなり防ぐことができます。
③ 家族へ一言伝えておく
「ネット証券を使っているよ」
「ネット銀行があるよ」
この一言だけでも、相続時には大きな助けになります。
④ 口座を増やしすぎない
口座が多いほど、管理も相続も複雑になります。
理想は1行。
難しい場合でも、2〜3行程度に整理しておくと安心です。
まとめ
ネット銀行やネット証券、そして使っていない通帳は、便利である一方で“見えない財産”になりやすいものです。
- キャッシュカードがあっても安心ではない
- ネット証券は特に見落とされやすい
- 放置口座が多いほど相続人の負担が増える
だからこそ大切なのは、
「家族が気づける状態を作ること」
です。
そして後から困らないためにも、
「今のうちに整理しておくこと」
これが何より重要です。
エンディングノートを活用しながら、できるところから少しずつ整えていきましょう。
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