放棄で後悔?母に全部渡したかっただけなのに起きた落とし穴と注意点

相続放棄は「自分が相続しない」だけでなく、相続権を次の順位の人へ移す手続きです。

そのため、「母にすべて相続させたい」という理由で安易に選択すると、思わぬトラブルにつながる可能性があります。

皆さま、こんにちは。
神奈川県秦野市の行政書士、安居院です。

今回は、実際のご相談をもとに(個人が特定されないよう内容は調整しています)、

「母にすべて相続させたい」という思いから相続放棄を選択した結果、
思いがけない状況になってしまったケースをご紹介します。

相続手続き全体の流れについては、こちらの記事でまとめています。
相続が発生したら何から始める?手続きの流れをわかりやすく解説


■ きっかけは「母に全部渡したい」という気持ち

お父さんが亡くなり、相続人はお母さんと子ども。

「自分は何もいらないから、母に全部渡したい」

そう考えた子どもが、相続放棄を選択しました。


■ 相続放棄の結果、何が起きたのか

相続放棄をすると、その人は最初から相続人でなかった扱いになります。

このケースでは、被相続人であるお父さんの親(直系尊属)はすでに亡くなっていました。

そのため、相続権は次の順位である兄弟姉妹へと移ります。

相続人の順位や確定方法については、
▶「相続人の確定とは?戸籍収集でつまずくポイントをわかりやすく解説」も参考になります。


■ 想定外の相続人が登場

結果として、

・これまで関わりの少なかった兄弟姉妹
・場合によってはその子(甥・姪)

が相続人となり、話し合いが必要になりました。

「母に全部渡したかっただけなのに…」

という思いとは裏腹に、
相続人が増え、手続きは一気に複雑になってしまったのです。

同じような思いから相続放棄を選ばれる方は少なくありません。

善意からの判断であっても、思わぬ結果につながることがあります。


■ 相続放棄は“バトンを次に渡す”手続き

相続放棄は、

「自分が関わらなくなる」手続きであると同時に、
相続権を次の順位の人へ移す手続きでもあります。

そのため、

意図せず他の親族を巻き込んでしまう可能性があります。


■ このケースで本当に良かった方法は?

今回のケースでは、後から確認したところ、
借金などの負債はなく、財産はプラスのみでした。

このような場合は、

相続放棄ではなく、遺産分割協議で「何も取得しない」とする方法の方が適していました。


■ 遺産分割で「取得しない」という選択

遺産分割協議であれば、

・子は相続人のまま
・相続人は増えない
・母にすべて相続させることができる

という形で、シンプルに手続きを進めることができます。

遺産分割協議の進め方や注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
遺産分割協議とは?進め方とトラブル回避【不動産相続は要注意】


■ 注意しておきたいポイント

ただし、この方法は

負債がないことが明らかな場合に限るという点に注意が必要です。

もし借金などがある場合は、
相続放棄を検討する必要があります。

相続人の変化については、
「代襲相続とは?孫・甥姪が相続人になるケースと違いを解説」も参考になります。


■ まとめ

相続放棄と、遺産分割で何も受け取らないことは、似ているようで全く異なります。

遺産分割協議書について詳しく知りたい方は、
「遺産分割協議書は必要?なくても手続きできるケースと注意点」もあわせてご覧ください。

今回のように、

・母にすべて相続させたい
・負債がない

といったケースでは、

相続放棄ではなく、遺産分割で調整する方が適している場合もあります。


■ ご相談について

「相続放棄した方がいいのか、それとも分割で調整すべきか」
迷われるケースはとても多いです。

状況によって最適な方法は変わりますので、
不安な場合は事前にご相談ください。

LINEからも受け付けております。
「ちょっと聞いてみたい」という内容でも大丈夫です。

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