再婚家庭の相続|連絡が取れない子がいる場合の注意点
こんにちは。行政書士の安居院(あぐい)です。
今の時代、離婚という選択を経て、新しいパートナーと出会い、
新しい家庭を築かれている方は決して珍しくありません。
「前の家庭とはもう何年も連絡を取っていない」
「子どもとは疎遠だけど、それぞれの生活があるから…」
「財産なんて使い切るつもりだし、まだ先の話」
そう思われている方も多いのではないでしょうか。
『まだ先の話だから』と思われる方は、こちらの記事も参考になさってください。
▶相続手続きはいつから始める?相談する目安とは
ですが、“今が平穏”であることと、“相続で困らない”ことは、実は別のお話なのです。
相続が発生すると、過去の家族関係が、再び大きく関わってくることがあります。

今日は、少し話しづらいけれど、目を背けてはいけない「先妻・先夫との間のお子さん」と相続の現実について、分かりやすくお話しさせていただきます。
1.「音信不通」でも、法律上の相続人です
どんなに長い間連絡を取っていなくても、どこに住んでいるか分からなくても、
血のつながったお子さんである以上、法律上の「法定相続人」になります。
ここが大きなポイントなのですが、銀行口座の解約、不動産の名義変更など、
多くの相続手続きには、相続人全員の協力が必要になります。
遺産分割協議書が必要になる場面については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶遺産分割協議書は必要?なくても手続きできるケースと注意点
つまり、今のご家族だけで手続きを進めることはできません。
「もう何十年も会っていない」
「連絡先も知らない」
その状態であっても、相続となれば関係が生まれてしまうのです。
2.残された今のご家族が直面する現実
もし、先妻・先夫との間のお子さんと連絡が取れないまま相続が発生すると、
残された今のご家族は、精神的にも時間的にも大きな負担を抱えることになります。
戸籍を追い、住所を調べることから始まります
まずは戸籍をたどり、住民票の附票などを取得しながら、「今どこに住んでいるのか」を調べる必要があります。
場合によっては、何十年も交流のない方を探すことになるケースもあります。
「知らない人」に相続の話をする怖さ
会ったこともない。
どんな生活をしているかも分からない。
そんな相手に対して、突然「お父様(お母様)が亡くなりました。相続のお話を…」と連絡を取らなければなりません。
最初はお手紙を出すことが多いのですが、
「どう書けば失礼にならないだろう」
「怒らせてしまわないだろうか」
と、文面ひとつにも神経を使います。
手続きが止まってしまうこともあります
遺産分割協議書には、相続人全員の署名・実印・印鑑証明書が必要です。
もし返事が来なかったり、話し合いがまとまらなければ、相続手続きはそこで止まってしまいます。
最終的に、家庭裁判所での調停に進むケースもあります。
本当に大変なのは、「感情」の部分です
相続で苦しくなるのは、手続きだけではありません。
「急に連絡してきて、お金の話ですか?」
そう思われてしまうこともあります。
一方、残された今のご家族も、
「どんな要求をされるんだろう」
「話がこじれたらどうしよう」
という不安を抱えながら進めることになります。
実際には、悪い人ではなくても、長年積み重なった感情があることで、話し合いが難しくなるケースも少なくありません。
3.「まだ先の話」が、一番危ないこともあります
こういうお話をすると、
「でも、まだ元気だから」
「うちは財産なんてそんなにないから」
「その頃にはどうにかなるでしょ」
とおっしゃる方もいらっしゃいます。
『まだ先の話だから』と思われる方は、こちらの記事も参考になさってください。
▶相続手続きはいつから始める?相談する目安とは
もちろん、本当に財産を使い切る方もいらっしゃるでしょう。
ですが、実際には、
- ご自宅だけは残った
- 少しの預金があった
- 年金口座が残っていた
それだけでも、相続手続きは発生します。
相続手続き全体の流れについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶相続が発生したら何から始める?手続きの流れをわかりやすく解説
そして、その時に困るのは、ご本人ではありません。
残された配偶者や、今のご家族です。
「自分が死んだ後のことだから分からない」ではなく、
“自分がいなくなった後、大切な人が困らないようにしておく”
そこまで含めて、相続対策なのだと思います。
家族の形が多様化する今、『大切な人を守る準備』についてはこちらの記事でもお話ししています。
▶LGBT・事実婚の終活対策|安心して暮らすための備えとは
4.今からできる、大切な備え「遺言書」
では、どう備えればいいのでしょうか。
その大きな方法の一つが、「遺言書」です。
遺言書があることで、
「誰に、どの財産を、どのように残したいのか」
をご自身の意思として明確に残すことができます。
また、遺言書があることで、遺産分割協議をせずに進められるケースも増え、
残されたご家族の負担を大きく減らせる可能性があります。
もちろん、先妻・先夫との間のお子さんにも法律上の権利(遺留分)はあります。
ですが、“何も決めずに残してしまう”ことと、“きちんと考えて準備しておく”ことでは、
その後の負担が大きく変わってきます。
大切な子どもたちだからこそ
今のご家族のお子さんも、先妻・先夫との間のお子さんも、
どちらも大切な我が子であることに変わりはないと思います。
だからこそ、ご自身が元気な今のうちに、
「自分がいなくなった後、家族が困らないようにするにはどうしたらいいか」
を、一度考えてみませんか?
それは、過去を否定することではありません。
今のご家族にも、過去のご家族にも、余計な争いや不安を残さないための、
“最後の優しさ”なのだと思います。
「うちの場合はどう備えればいい?」
「遺言書って何を書けばいいの?」
「将来、連絡を取る必要が出た時のトラブルを減らしたい」
そんな時は、お気軽にご相談くださいね。
優しい扉を叩いていただけたら、一緒に一番良い方法を考えていきます。
LINEからも受け付けております。
「ちょっと聞いてみたい」という内容でも大丈夫です。
