再婚家庭の相続|連絡が取れない子がいる場合の注意点

こんにちは。行政書士の安居院(あぐい)です。

今の時代、離婚という選択を経て、新しいパートナーと出会い、
新しい家庭を築かれている方は決して珍しくありません。

「前の家庭とはもう何年も連絡を取っていない」
「子どもとは疎遠だけど、それぞれの生活があるから…」
「財産なんて使い切るつもりだし、まだ先の話」

そう思われている方も多いのではないでしょうか。

『まだ先の話だから』と思われる方は、こちらの記事も参考になさってください。
相続手続きはいつから始める?相談する目安とは

ですが、“今が平穏”であることと、“相続で困らない”ことは、実は別のお話なのです。

相続が発生すると、過去の家族関係が、再び大きく関わってくることがあります。

再婚家庭の相続に関する4コマ漫画。前妻・前夫との間の子どもも相続人になることを、行政書士あぐい先生が分かりやすく紹介。連絡が取れない子がいる場合の相続トラブルについて記事へ誘導する導入漫画。

今日は、少し話しづらいけれど、目を背けてはいけない「先妻・先夫との間のお子さん」と相続の現実について、分かりやすくお話しさせていただきます。


1.「音信不通」でも、法律上の相続人です

どんなに長い間連絡を取っていなくても、どこに住んでいるか分からなくても、
血のつながったお子さんである以上、法律上の「法定相続人」になります。

ここが大きなポイントなのですが、銀行口座の解約、不動産の名義変更など、
多くの相続手続きには、相続人全員の協力が必要になります。

遺産分割協議書が必要になる場面については、こちらの記事で詳しく解説しています。
遺産分割協議書は必要?なくても手続きできるケースと注意点

つまり、今のご家族だけで手続きを進めることはできません。

「もう何十年も会っていない」
「連絡先も知らない」

その状態であっても、相続となれば関係が生まれてしまうのです。


2.残された今のご家族が直面する現実

もし、先妻・先夫との間のお子さんと連絡が取れないまま相続が発生すると、
残された今のご家族は、精神的にも時間的にも大きな負担を抱えることになります。

戸籍を追い、住所を調べることから始まります

まずは戸籍をたどり、住民票の附票などを取得しながら、「今どこに住んでいるのか」を調べる必要があります。

場合によっては、何十年も交流のない方を探すことになるケースもあります。


「知らない人」に相続の話をする怖さ

会ったこともない。
どんな生活をしているかも分からない。

そんな相手に対して、突然「お父様(お母様)が亡くなりました。相続のお話を…」と連絡を取らなければなりません。

最初はお手紙を出すことが多いのですが、

「どう書けば失礼にならないだろう」
「怒らせてしまわないだろうか」

と、文面ひとつにも神経を使います。


手続きが止まってしまうこともあります

遺産分割協議書には、相続人全員の署名・実印・印鑑証明書が必要です。

もし返事が来なかったり、話し合いがまとまらなければ、相続手続きはそこで止まってしまいます。

最終的に、家庭裁判所での調停に進むケースもあります。


本当に大変なのは、「感情」の部分です

相続で苦しくなるのは、手続きだけではありません。

「急に連絡してきて、お金の話ですか?」
そう思われてしまうこともあります。

一方、残された今のご家族も、

「どんな要求をされるんだろう」
「話がこじれたらどうしよう」

という不安を抱えながら進めることになります。

実際には、悪い人ではなくても、長年積み重なった感情があることで、話し合いが難しくなるケースも少なくありません。


3.「まだ先の話」が、一番危ないこともあります

こういうお話をすると、

「でも、まだ元気だから」
「うちは財産なんてそんなにないから」
「その頃にはどうにかなるでしょ」

とおっしゃる方もいらっしゃいます。

『まだ先の話だから』と思われる方は、こちらの記事も参考になさってください。
相続手続きはいつから始める?相談する目安とは

もちろん、本当に財産を使い切る方もいらっしゃるでしょう。

ですが、実際には、

  • ご自宅だけは残った
  • 少しの預金があった
  • 年金口座が残っていた

それだけでも、相続手続きは発生します

相続手続き全体の流れについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
相続が発生したら何から始める?手続きの流れをわかりやすく解説

そして、その時に困るのは、ご本人ではありません。

残された配偶者や、今のご家族です。

「自分が死んだ後のことだから分からない」ではなく、

“自分がいなくなった後、大切な人が困らないようにしておく”

そこまで含めて、相続対策なのだと思います。

家族の形が多様化する今、『大切な人を守る準備』についてはこちらの記事でもお話ししています。
LGBT・事実婚の終活対策|安心して暮らすための備えとは


4.今からできる、大切な備え「遺言書」

では、どう備えればいいのでしょうか。

その大きな方法の一つが、「遺言書」です。

遺言書があることで、

「誰に、どの財産を、どのように残したいのか」

をご自身の意思として明確に残すことができます。

また、遺言書があることで、遺産分割協議をせずに進められるケースも増え、
残されたご家族の負担を大きく減らせる可能性があります。

もちろん、先妻・先夫との間のお子さんにも法律上の権利(遺留分)はあります。

ですが、“何も決めずに残してしまう”ことと、“きちんと考えて準備しておく”ことでは、
その後の負担が大きく変わってきます。


大切な子どもたちだからこそ

今のご家族のお子さんも、先妻・先夫との間のお子さんも、
どちらも大切な我が子であることに変わりはないと思います。

だからこそ、ご自身が元気な今のうちに、

「自分がいなくなった後、家族が困らないようにするにはどうしたらいいか」

を、一度考えてみませんか?

それは、過去を否定することではありません。

今のご家族にも、過去のご家族にも、余計な争いや不安を残さないための、
“最後の優しさ”なのだと思います。

「うちの場合はどう備えればいい?」
「遺言書って何を書けばいいの?」
「将来、連絡を取る必要が出た時のトラブルを減らしたい」

そんな時は、お気軽にご相談くださいね。

優しい扉を叩いていただけたら、一緒に一番良い方法を考えていきます。

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