エンディングノートの「法定相続分で分ける」に安易にチェックを入れてはいけない理由
こんにちは。
神奈川県秦野市の行政書士・安居院(あぐい)です。
最近は、ご自身のこれまでの歩みを振り返り、「これからの安心」のためにエンディングノートを書く方がとても増えています。
市販のノートや自治体配布のものなど、今は本当にさまざまな種類がありますよね。
そんなエンディングノートを進めていくと、多くの方が悩まれるのが「遺産の分け方」のページです。
そこには、よくこんな選択肢があります。
□ 法定相続分どおりに、みんなで平等に分け合ってほしい
「これなら平等だし、家族も揉めないはず」
そう思って、深く考えずにチェックを入れてしまう方も少なくありません。
ですが、実務に携わる立場からお伝えすると、この“平等に”という想いが、かえってご家族を悩ませてしまうケースもあるのです。
現金だけなら、法定相続分でも問題は少ない
もし相続財産が、すべて現金や預貯金だけであれば、法定相続分どおりに分けることは比較的スムーズです。
例えば、
「1,000万円を子ども2人で500万円ずつ分ける」
という形で、数字できれいに分けることができます。
ですが、実際の相続では、現金だけというケースはあまり多くありません。
不動産や株式は「きれいに半分」が難しい
特に問題になりやすいのが、
- ご自宅や土地などの不動産
- 株や投資信託などの有価証券
です。
例えば、
「この家を、きょうだい2人で法定相続分どおり半分ずつにしてほしい」
と言われても、家を物理的に半分に分けることはできません。
そこで、
「では共有名義にしよう」
という話になることがあります。
ですが、不動産の共有名義は、将来的なトラブルにつながりやすい方法でもあります。
「財産は実家だけだから、揉めるほどではないと思っていた…」
実は、相続トラブルは“資産家”よりも、実家などの不動産が中心のご家庭で起こりやすいと言われています。
不動産を平等に分ける難しさや、共有名義の問題、実際によくある“争族”の原因についてわかりやすく解説しています。
▶なぜ実家相続は揉める?不動産しかない家庭で起きやすい“争族”
たとえば、
- 売却したい
- リフォームしたい
- 賃貸に出したい
そんな場面では、共有者全員の同意が必要になります。
さらに次の世代へ相続が発生すると、権利関係がどんどん複雑になり、
「誰がどれだけ持っているのかわからない」
という状態になってしまうことも少なくありません。
「平等に」が、かえって家族を悩ませることも
エンディングノートを書かれたご本人は、
「みんな仲良く、平等に分けてほしい」
という優しい気持ちだったはずです。
ですが、具体的な分け方まで書かれていないと、残されたご家族は結局話し合いをしなければなりません。
相続が発生すると、多くの場合必要になる「遺産分割協議」。
どのように話し合いを進めるのか、何を決める必要があるのか、トラブルを防ぐためのポイントも含めてわかりやすくまとめています。
▶遺産分割協議とは?進め方とトラブル回避【不動産相続は要注意】
- この家は誰が住むの?
- 売却する?
- 誰が管理する?
- 株は誰が引き継ぐ?
そうした話し合いの中で、お互いの考えがぶつかってしまうケースは、実際によくあります。
最初は仲が良かったご家族でも、相続をきっかけに関係がぎくしゃくしてしまうことは、決して珍しいことではありません。
本当に大切なのは「具体的に書くこと」
エンディングノートは、ご家族へ遺す“最後のラブレター”のようなものです。
だからこそ、
「どう分けてほしいのか」
まで、できるだけ具体的に書いておくことが、ご家族への本当の優しさになります。
例えば、
- 「長男に自宅を相続させたい」
- 「家は売却して、現金化してから分けてほしい」
- 「長女には預貯金を多めに残したい」
など、具体的に記しておくことで、ご家族は迷わずに手続きを進めやすくなります。
エンディングノートだけでは法的効力はありません
なお、エンディングノートには法的な効力(強制力)はありません。
遺言書を作るとき、多くの方が迷われるのが「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の違いです。
それぞれのメリット・デメリットや費用、向いているケースを比較しながら、失敗しない遺言書作成のポイントを解説しています。
▶公正証書遺言と自筆証書遺言の違いとは?費用・リスク・必要書類まで徹底解説
そのため、
「確実に自分の意思を残したい」
という場合には、エンディングノートを整理したうえで、遺言書の作成まで検討されることをおすすめします。
「うちの場合はどう書けばいい?」と思ったら
- 不動産がある
- 子ども同士の関係が少し心配
- 財産の分け方に迷っている
- エンディングノートをどう書けばいいかわからない
そんなときは、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
当事務所では、単に書類を作成するだけではなく、
- 介護福祉士としての視点
- 不動産業の経験
- 相続実務の経験
を踏まえながら、ご本人とご家族に合った「生前対策」を一緒に考えております。
少しの準備で、“争う相続”ではなく、“想いをつなぐ相続”へ変えることができます。
「何を書けばいいかわからない」「重たい話に感じてしまう」——そんな理由で、エンディングノートを書けずにいる方も多くいらっしゃいます。
まずは一言から始める終活について、やさしくお話ししています。
▶エンディングノートが書けない方へ|一言から始める終活
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